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働き方改革の実務 同一労働同一賃金③

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「同一労働同一賃金」という言葉は、時には「同一価値労働同一賃金」の意味で使われることもあります。同じ労働に対して、性別や人種、年齢などの差別がなく、同じ賃金を支払うという考え方はとても明快といえます。ですから、ヨーロッパ諸国では産業別労働組合によって職務ごとの賃金水準が企業横断的に決定されており、これが労使間のルールになっています。
しかし、日本の場合には事情が少し異なります。終身雇用、年功序列、企業別労働組合を特徴とする日本型雇用慣行の中で、正社員の賃金は職業能力評価などによって決まる職能給が主流になっています。勤続年数とともに能力は高まるとされ、実際の職務に対してではなく、職能に対して賃金が決定されることから、同一価値労働同一賃金を即座に適用することは難しいとされているわけです。



日本において正社員と非正規社員との均等待遇を考える場合、正社員には職務内容、責任、役割期待といった非正規社員とは異なる人事賃金制度を適用しているわけですから、雇用形態の違いによって賃金に相違があって当たり前ということになります。しかし、こうした処遇の相違について争った裁判があります。(丸子警報器事件)判決では、一定の勤続年数が有り、職務内容が正社員と同視できる臨時社員の待遇について、会社の裁量の範囲を逸脱した正社員との賃金格差があったとして公序良俗に反するとしました。
その後、非正規社員の増加を背景に、こうした判例の影響などもあって、定められたのが、パートタイム労働法9条「差別的取扱いの禁止」(均等待遇)の規定です。現行のパート・有期労働法9条では、有期雇用労働者にも適用が拡大されたほかは、その解釈に大きな変更はなく、以下の2要件を満たすパート、有期雇用労働者については、すべての待遇について通常の労働者と同じ扱いをしなければならず、基本給、賞与その他の待遇について、差別的取扱いをすることが禁止されています。
➀職務の内容が通常の労働者と同じであること
②職務の内容・配置の変更の範囲が当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、通常の労働者と同一の範囲で変更されることが見込まれること
なお、差別的取扱いが禁止されるのは、パート、有期雇用労働者であることを理由とするものですから、客観的かつ公平な人事考課等によって個々の労働者について賃金水準に違いが生じることには問題はありません。

福岡労務ニュース2020年10月号の記事を再構成











  1. 2020/11/24(火) 17:33:46|
  2. 働き方改革推進関連法
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働き方改革の実務 同一労働同一賃金② 



「同一労働同一賃金」とは、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるよう、正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇差の解消を図ることだと言えます。

パートタイム労働者については従前のパートタイム労働法8条、有期雇用労働者については労働契約法20条においてそれぞれ均衡待遇規定が定められていましたが、これがパート・有期労働法の成立によって同法8条(不合理な待遇差の禁止)に統合されました。

さらに、均等待遇では従前のパートタイム労働法9条(差別的取扱いの禁止)の定めを有期雇用労働者にも適用拡大し、パート・有期労働法9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)として定められています。

均等・均衡待遇の詳しい内容に入る前に、パート・有期労働法に関する基本事項についてみておくことにします。
まず、同法の適用を受けるのは、パートタイマー、アルバイト、契約社員など名称の如何を問わず、パートタイム労働者及び有期雇用労働者に該当する人になります。

例えば、パートと呼ばれていても、通常の労働者と同一の所定労働時間である場合には、適用対象とはなりません。
ただし、このような人であっても、期間の定めのある労働契約を締結している場合は、有期雇用労働者として同法の適用を受けることになります。

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ですから、この法律の適用対象となるのは「短時間勤務の無期雇用」「短時間勤務の有期雇用」「有期雇用のフルタイム勤務」の3態様ということになります。

一方、不合理か否かの待遇差の比較対象となるのが「「同一の事業主に雇用される通常の労働者」です。
「通常の労働者」とは、具体的には無期の労働契約を締結しているフルタイム労働者ということになります。
その判断は、雇用形態のほか、長期雇用を前提とした待遇かどうか、賃金の支給形態や賞与、退職金、定期的な昇給・昇格の有無など賃金体系等を総合的に勘案して決せられます。(通常の労働者のタイプが複数存在する場合もあります。)

また、比較対象となるのは「同一の事業主」に雇用される労働者です。従前のパートタイム労働法では、「同一の事業所」に雇用される通常の労働者が比較対象でしたが、「事業主」単位で判断することに変更されました。それというのは、改正前の労働契約法20条が事業主を単位として、有期雇用労働者と無期雇用労働者との労働条件の不合理な相違を禁止していたこと、また、近年は非正規化が進み、同一事業所には待遇を比較すべき通常の労働者が存在しない場合がある、といったことなどによるものです。

福岡労務ニュース2020年9月号




  1. 2020/11/02(月) 18:12:25|
  2. 働き方改革推進関連法
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働き方改革の実務 同一労働同一賃金① 

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働き方改革関連法は、どのような雇用形態を選択しても、待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を選択できる社会を目指しています。

具体的には、パートタイマ労働者、有期雇用労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規労働者と正社員との均等・均衡待遇を推進するということですが、こうした取組みはこれまでも各雇用形態を対象とする関連法ごとに数次の改正によって図られてきています。
ここでは簡単にこれまでの経緯について振り返っておくことにしましょう。

まず、パートタイム労働法については、平成19年、平成26年のパートタイム労働法の改正によって、職務内容や人材活用の仕組みなどが正社員と同じパートタイム労働者については、正社員との差別的取扱いが禁止されたほか、パートタイム労働者の雇入れの際には、事業主による雇用管理の改善措置についての説明が義務づけられるなど、均等・均衡待遇に向けた規定が整備・拡充されてきています。

また、有期雇用労働者については、平成24年の労働契約法の改正において、有期雇用労働者の無期転換や雇い止めに関するルールに加え、無期雇用労働者との不合理な労働条件を禁止する均衡待遇の規定が設けられています。

最後に派遣労働者のついてですが、平成24年、平成27年の労働者派遣法の改正によって、派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡に配慮することや、派遣元から待遇の均衡を図るために考慮した内容の説明を受けられるようにするなど、均衡待遇の確保・推進の規定が設けられています。
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しかしながら、こうした法改正にもかかわらず、雇用形態の違いを理由とする不合理な待遇差が解消されたとは言いがたいのが現状です。ですから、働き方改革関連法は、非正規労働者と正社員との不合理な待遇差の解消に向けて、均等・均衡待遇に関するルールを統一的に整備したものといえます。

そこでは、従来の制度から一歩進めて、均等・均衡待遇規定の明確化を図るとともに、待遇に関する事業主への説明義務の強化や、行政による履行確保措置及び紛争解決制度の整備などが法改正に盛り込まれました。


また、待遇差が不合理であるか否かの判断に際して、原則となる考え方や具体例を示した「同一労働同一賃金ガイドライン」も策定されています。

今後は、従業員1人ひとりの能力をいかに発揮させていくかという観点から、正社員だけでなく非正規労働者も含めた、多様な働き方に人事・賃金制度の構築・運用が重要になってくるものと考えられます。

福岡労務ニュース2020年8月号から

  1. 2020/10/30(金) 19:28:41|
  2. 働き方改革推進関連法
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大変な年次有給休暇管理

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年次有給休暇5日の時季指定義務化とともに「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存しなければいけません。
専任の人事担当者がいない中小零細企業にとって大変な負担となりそうです。

記載する項目は、与えた時季、日数、基準日で労働者ごとに作成しなければいけません。

そこで福岡労務は、顧問先様の負担をできるだけ減らすよう、Excelで直感的に入力するだけで自動で年次有給休暇管理台帳ができるツールを作ってみました。半日単位の取得にも対応しています。

また、年次有給休暇管理簿は電子データで調製・保存する場合でも、労基署の臨検時など必要な場面ではいつでもプリントアウトできることが必要です。本ツールはデータでの保存もプリントアウトも可能になっています。

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  1. 2019/10/04(金) 11:38:48|
  2. 働き方改革推進関連法
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夏季・年末年始などの特別休暇を時季指定有給に替えるには

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厚労省は今回の改正を機に特別休暇の一部を労働日に替えて年次有給休暇に振り替えることは法の趣旨に沿わないと懸念を示しています。

この懸念を跳ね返すには、特別休暇を労働日に替えるのではなく法定の年次有給休暇に上乗せする所定年次有給休暇(法定年次有給休暇と同性質のものに限る)に変える方法が考えられます。

これにより従来どおり夏季や年末年始で休んだ日数は時季指定義務5日から控除できます。



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  1. 2019/05/25(土) 19:06:00|
  2. 働き方改革推進関連法
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